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出生時育児休業の申出期限を労使協定で定めるポイント

更新日:6月24日

出生時育児休業の申出期限を労使協定で定めるポイント

1⃣出生時育児休業の申出期限

・原則2週間前までです。(法第9条の3第3項)

雇用環境の整備等の措置(法第22条)を労使協定で定めることにより、現行の育児休業と同様に1か月前までとすることができます。(法第9条の3第4項)


2⃣雇用環境の整備及び雇用管理等に関する措置(法第22条)

労使協定で定めることにより、原則2週間前までとする出生時育児休業の申出期限を現行の育児休業と同様に1か月前までとしてよいこととする、雇用環境の整備等の措置は、次の3つです。


1.次に掲げる措置のうち、2以上の措置を講ずること。


・雇用する労働者に対する育児休業に係る研修の実施(法第22条1項1号)

▼通達(令和3年11月4日雇均発1104号第2号)

その雇用する全ての労働者に対して研修を実施することが望ましいものであるが、少なくとも管理職の者については研修を受けたことのある状態にすべきものであること。研修の実施に当たっては、定期的に実施する、調査を行う等職場の実態を踏まえて実施する、管理職層を中心に職階別に分けて実施する等の方法が効果的と考えられること。


・育児休業に関する相談体制の整備(法第22条1項2号)

▼通達(令和3年11月4日雇均発1104号第2号)相談体制の窓口の設置や相談対応者を置き、これを周知することの意であること。このことは窓口を形式的に設けるだけでは足らず、実質的な対応が可能な窓口が設けられていることをいうものであり、労働者に対する窓口の周知等により、労働者が利用しやすい体制を整備しておくことが必要であること。


・雇用する労働者の育児休業の取得に関する事例の収集及び当該事例の提供(通達 雇均発1104号第2号 令和3年11月4日)

▼通達(令和3年11月4日雇均発1104号第2号)自社の育児休業の取得事例を収集し、当該事例の掲載された書類の配付やイントラネットへの掲載等を行い、労働者の閲覧に供することの意であること。 事例の収集、提供に当たっては、男女双方の事例を収集し、提供することが原則であるが、男女いずれかの対象者がいない場合に片方のみとなることはやむを得ないこと。また、提供する取得事例を特定の性別や職種、雇用形態等に偏らせず、可能な限り様々な労働者の事例を収集、提供することにより、特定の者の育児休業の申出を控えさせることに繋がらないように配慮すること。


・雇用する労働者に対する育児休業に関する制度及び育児休業の取得の促進に関する方針の周知(法第22条2項)

▼通達(令和3年11月4日雇均発1104号第2号)育児休業に関する制度及び育児休業の取得の促進に関する事業主の方針を記載したものの配付や事業所内やイントラネットへ掲載等を行うものであること。


・育児休業申出をした労働者の育児休業の取得が円滑に行われるようにするための業務の配分又は人員の配置に係る必要な措置(則第21条の7第1号ホ)

▼通達(令和3年11月4日雇均発1104号第2号)業務の配分は、育児休業を取得した労働者の業務を単に周囲の他の労働者に 引き継ぐだけでは措置を行ったこととはならず、休業した労働者の業務の分担等を行う他の労働者の業務負担が過大とならないよう配慮、調整の上で措置を行う必要 があること。ただし、たまたま周囲に手すきの労働者がおり、業務の配分を検討し た結果、休業する労働者の業務を他の労働者に引き継ぐことのみで対応できることとなった場合は必要な措置を講じたこととすること。


2.育児休業の取得に関する定量的な目標を設定し、育児休業の取得の促進に関する方針を周知すること。


▼通達(令和3年11月4日雇均発1104号第2号)

・法に基づく育児休業の取得率のほか当該企業における独自の育児目的の休暇制度を含めた取得率等を設定すること等も可能であるが、少なくとも男性の取得状況に関する目標を設定することが必要であること。

・「定量的な目標」は「数値目標」を意味します。(補足説明)


▼Q&A

Q1 「育児休業の取得に関する定量的な目標を設定」すること(則第 21 条の7第2号)については、グループ会社全体の数値目標を設定すれば要件を満たすことになりますか。

A1 育児・介護休業法上の義務は事業主に課せられているため、グループ内のそれぞれの事業主において当該事業主が雇用する労働者による育児休業の取得に関する定量的な目標を設定する必要があります。

Q2 出生時育児休業申出期限の短縮に関する雇用環境の整備等の措置のうち、「育児休業の取得の促進に関する方針の周知」(則第 21 条の7第2号)については、1度周知すればそれで十分でしょうか。

A2 育児休業の取得の促進に関する事業主の方針の社内での認知状況等を踏まえて、1度きりではなく、定期的に周知する必要があります。


3.育児休業申出に係る当該労働者の意向を確認するための措置を講じた上で、その意向を把握するための取組を行うこと。


▼補足説明

・妊娠・出産の申出があった場合に意向確認の措置を行うことは、この労使協定の締結にかかわらず、法律上の義務です。

・ここの「意向を把握するための取組」は、法律上の義務を上回る取組とすることが必要であり、最初の意向確認のための措置の後に、返事がないような場合は、リマインドを少なくとも1 回は行うことが必要です(そこで、労働者から「まだ決められない」などの場合は、未定という形で把握)


▼Q&A

Q 出生時育児休業申出期限の短縮に関する雇用環境の整備等の措置のうち、「育児休業申出に係る当該労働者の意向を確認するための措置を講じた上で、その意向を把握するための取組を行うこと」(則第 21 条の7第3号)について、事業主が育児休業申出の意向を確認したものの、回答がない労働者がいる場合は、この要件を満たすためには、 どのような取組を行えばよいのでしょうか。

A 最初の意向確認のための措置の後に、回答がないような場合は、回答のリマインド を少なくとも1回は行うことが必要です(そこで、労働者から「まだ決められない」な どの回答があった場合は、「未定」という形で把握することとなります。)


3⃣労使協定例

職場環境の整備等の措置において、1「雇用する労働者に対する育児休業に係る研修の実施」「育児休業に関する相談体制の整備」,2,3の場合。


第n条(出生時育児休業の申出期限)

会社は、出生時育児休業の申出が円滑に行われるよう、次の措置を講じることとする。その場合、会社は、出生時育児休業の申出期限を出生時育児休業を開始する日の1か月前までとすることができるものとする。

  1. 従業員(●●以上の管理職)に対し、年1回以上、育児休業制度(出生時育児休業含む。以下同じ。)の意義や制度の内容、申請方法等に関する研修を実施すること。

  2. 育児休業に関する相談窓口を本社総務部に設置し、従業員に周知すること。

  3. 育児休業について、会社として、毎年度「男性労働者の取得率○%以上 取得期間平均○か月以上」「女性労働者の取得率○%以上」を達成することを目標とし、この目標及び育児休業の取得の促進に関する方針を社長から従業員に定期的に周知すること。また、男性労働者の取得率や期間の目標については、達成状況を踏まえて必要な際には上方修正を行うことについて労使間で協議を行うこと。

  4. 育児休業申出に係る労働者の意向について、本社総務部から、当該労働者に書面を交付し回答を求めることで確認する措置を講じた上で、労働者から回答がない場合には、再度当該労働者の意向確認を実施し、当該労働者の意向の把握を行うこと。


4⃣申出事項

申出事項は以下のとおりです。

  1. 出生時育児休業申出の年月日

  2. 出生時育児休業申出をする労働者の氏名

  3. 出生時育児休業申出に係る子の氏名、生年月日および労働者との続柄等

  4. 出生時育児休業開始予定日および出生時育児休業終了予定日

  5. 労働者が出生時育児休業申出に係る子でない子であって出生の日から起算して8週間を経過しないものを有する場合にあっては、当該子の氏名、生年月日及び当該労働者との続柄 ⇒ 特別養子等の想定

  6. 出生時育児休業申出に係る子が養子である場合にあっては、当該養子縁組の効力が生じた日

  7. 出産が予定日より早まった場合等はその旨


5⃣事業主および労働者の留意事項

出生時育児休業を含む育児休業については、労働者がこれを円滑に取得できるようにするため、事業主においては、休業の申出期限にかかわらず労働者による申出が円滑に行われるようにするための雇用環境の整備を行い、労働者の側においても、業務の円滑な引き継ぎ等のためには、労働者の意向に応じて早めに申し出ることが効果的であるという意識を持つことが重要であることに留意すること。(子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置等に関する指針 2-1-(3)-ロ)

 

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今鶴実践社労士事務所

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