top of page

改善基準告示はなぜ改正されたのか?①

更新日:6月22日

改善基準告示とはいったい何ものなのか

改善基準告示は正式な名称を「平成元年2月9日労働省告示第7号 自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」といいます。令和6年4月から施行された「改善基準告示」はこれが令和4年12月23日に改正されたものです。


◆改善基準告示


令和4年12月23日改正、令和6年4月1日施行ですが、「令和5年3月31日付基発0331第49号通達 自動車運転者の労働時間等の改善のための基準の一部改正による改正後の解釈等について」(改善基準告示(令和6年4月1日適用) に関するQ&A)において、各社の36協定の始期にあわせて適用が開始されることとされています。(Q&A 1-2)


◆改善基準告示(令和6年4月1日適用) に関するQ&A


36協定の始期にあわせて適用されるので、36協定の始期が4月1日でしたら4月1日から。7月1日でしたら3か月遅れて7月1日から適用となります。

もう、貴社におかれては適用となりましたでしょうか。

この改善基準告示とはいったい何ものなのか。

労務管理に詳しい社会保険労務士も案外「苦手」と言う方が多いのですが、この改善基準告示の第1条(目的等)を見ると、以下のようになっています。


第1条(目的等)この基準は、自動車運転者(労働基準法(昭和22年法律第49号。以下「法」という。)第9条に規定する労働者(同居の親族のみを使用する事業又は事務所に使用される者及び家事使用人を除く。)であって、4輪以上の自動車の運転の業務(厚生労働省労働基準局長が定めるものを除く。)に主として従事する者をいう。以下同じ。)の労働時間等の改善のための基準を定めることにより、自動車運転者の労働時間等の労働条件の向上を図ることを目的とする。

改善基準告示はドライバーの労働条件の向上を目的に、労働時間等の基準を定めたものとされています。

一方、労働基準法では、労働時間と休憩時間について以下のように、労働基準法の第32条関連と第34条に系統立てて定められています。


第32条~第32条の5(労働時間)

 ・第32条 … 1週40時間、1日8時間の原則

 ・第32条の2 … 1か月単位の変形労働時間制

 ・第32条の3,第32条の3の2 … フレックスタイム制

 ・第32条の4 第32条の4の2 … 1年単位の変形労働時間制

 ・第32条の5 … 1週間単位の非定型的変形労働時間制

第34条(休憩) … 6時間超で45分、8時間超で1時間等


このように労働基準法に既に定めてある労働時間に関する規定以外に定めなければならなかった労働時間に関することとは、いったい何だったのでしょうか。

これが改善基準告示を理解する第一歩と言えます。


改善基準告示が定めるもの

改善基準告示を概観してみましょう。


第1条(目的)

   第1項        … 目的

   第2項        … 労使関係者の責務

   第3項        … 時間外・休日労働協定をする場合の留意事項

第2条(タクシー)

第3条(ハイヤー)

第4条(トラック事業に従事する自動車運転者の拘束時間等)

   第1項第1号,第2号 … 1箇月及び1年の拘束時間

      第3号,第4号 … 1日の拘束時間

      第5号     … 休息期間

      第6号     … 運転時間

      第7号,第8号 … 連続運転時間

   第2項        … 住所地での休息期間

   第3項        … 予期し得ない事象への対応時間の取扱い

   第4項第1号     … 休息期間の分割の特例

      第2号     … 2人乗務の特例

      第3号     … 隔日勤務の特例

      第4号     … フェリーに乗船する場合の特例

   第5項        … 休日労働

第5条(バス)

第6条(細目)… 「必要な細目は労働基準局長が定める。」


上記から、「拘束時間」や「休息期間」「運転時間」等の労働基準法には無い労働時間等に関する規定が定められていることがわかります。


労働基準法には「労働時間」「休憩時間」が定められており、改善基準告示には「拘束時間」「休息期間」「運転時間」が定められているのです。

なぜこのように自動車運転者について「労働時間」「休憩時間」のほかに「拘束時間」「休息期間」「運転時間」を定める必要があったのでしょうか。



 

弊所は主に、建設業、トラック運送業、介護福祉事業、IT事業等の社会基盤となる事業の人事労務支援を行っている社会保険労務士事務所です。

業務遂行には様々なツールを使って生産性の向上に努めていますが、電子申請・DX・AIと、経営環境の変化をお感じの企業様もどうぞお気軽にご相談ください。


今鶴実践社労士事務所



閲覧数:66回0件のコメント

Yorumlar


bottom of page